[現役が伝授] フリーランスデザイナーが遭うトラブル事例、防ぐ方法は?受注時の契約と注意点

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フリーランスになると1人で仕事を運営していくので、何かトラブルに巻き込まれた時に誰にも頼れない・1人で対処しなければならない、というのは大きな不安要素になりますよね。
実は会社員としてチームで動いていても、なかなかデザインまわりのトラブルは対処方法が難しいものだったりします…

今回は、私が会社員時代〜フリーランスとして見てきたトラブルの経験を元に組んだ『トラブルを未然に防ぐ方法』をご紹介します。

フリーランス・会社員問わず発生する『デザイン業務あるある』の事例が多いので、会社員のデザイナーさんもご参考にいただけたらうれしいです!

Contents
  1. フリーランスデザイナーがよく直面するトラブルの種類と事例
  2. 下請法・フリーランス新法に則った正しい取引状態と、各トラブルの責任所在
  3. フリーランスデザイナーがトラブルを防ぐためにすべきこと
  4. フリーランスデザイナーとトラブルになりやすい会社の特徴
  5. フリーランスデザイナーとトラブルになりやすい顧客 / 人の特徴
  6. フリーランスデザイナーの稼働条件に特徴のある業界
  7. トラブルを防ぐために受注時にヒアリングすべき事項
  8. フリーランスがトラブルに巻き込まれた時の相談先
  9. トラブルを防いで、フリーランスの働き方を快適にしよう
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フリーランスデザイナーがよく直面するトラブルの種類と事例

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会社員でデザイン系のお仕事をしていても直面しやすいトラブルですが、やはりフリーランスになると会社に守ってもらえなくなる点のデメリットが大きく出るポイントでもあります。

事前にどのようなリスクがあるのかを理解した上で、お仕事を受けていきましょう!

『報酬・支払い』のトラブル

フリーランスデザイナーにとって、報酬のトラブルは自身の日々の生活に関わる大きな問題です。

よくあるケースは『支払期日の遅延』や、『事前に合意した金額と、実際の支払額の相違』です。
例えば、こんなケースがあります。

■支払期日の遅延

・支払期日になってもクライアントから報酬が振り込まれない
・振込漏れについて確認を入れようとしても連絡が取れなくなる

■支払額の相違

報酬の計算方法に認識のズレがあり、自分が思っていた金額と振り込まれた金額が異なっている
・クライアントの感覚で、成果物に対する報酬を一方的に減額される
・クライアントの気分で成果物を却下し受け取らない、納品拒否により報酬を支払わない

最も悪質なのは、着手後・成果物完成後に報酬や支払いに関する条件が変わることを提示されるパターンです。
このようなトラブルを防ぐためには、とにかく報酬や支払い条件を『着手前に文面で明確化』し、『事前に合意を得ておく』ことが重要です。

口頭で合意を取ったとしても、文面に残っていなければ「そんな約束はしていない」と言われてしまい、それ以上こちらからは何もアクションを取れなくなってしまうので注意!

『稼働期間』のトラブル

当初のスケジュール通りに進むことが理想ですが、プロジェクトが予想以上に長引くことは珍しくありません。
予め定められた報酬に対して、想定以上の時間をかけることは、フリーランスデザイナー側の時間単価が下がっていくため、フリーランス側にとって不利な状態となります。

原因としてよくあるのは下記です。

・クライアント側の校閲 / フィードバックが遅れる
・クライアントから追加の要望が次々と発生してしまう
・クライアントの確認漏れや気変わりが多く、修正の回数が増える

こういったことが生じてしまうと、フリーランスデザイナー側が抱えている他のお客様の案件スケジュールが圧迫され、結果的にトラブルとは関係のないお取引が切れてしまって収入が下がるなどの二次災害が生じることも…

このような状況を避けるためには、着手前にスケジュールに対する合意を得ておくことや、稼働期間の延長に際して発生する追加料金などの条件について事前に取り決めておくことが有効です。

稼働期間の延長とは別に、とんでもない量のタスクを突然「今日中に完成させろ!」と短納期の依頼をされてしまうケースについても、事前に条件を握っておきたいところ…!

『対応内容・業務範囲』のトラブル

「ここまでやってくれると思っていた」というクライアント側の認識と、「これは依頼範囲外だ」というフリーランスデザイナーの認識の食い違いが、対応内容や業務範囲に関するトラブルの元です。
意図していない作業を無条件に引き受けていくと、結果的に報酬が見合わなくなっていってしまいます。

例えば、このようなケースです。

役割や職種の異なる領域のタスクが、気づいたら自分のタスクになっていた
・当初の予定にはなかった新たなタスクを無償で依頼される
・納品後に、成果物の改善のための修正や保守運用を際限なく要求される

場合によっては自分1人ではクライアントが希望する業務を全うできずに大きなトラブルに発展することもあります。
これを防ぐためには、やはり着手前に『自分の役割と対応範囲』『具体的な作業内容と修正回数』などを文面で残し、合意を得ておくことが大事になります。

クライアント側が、初めてデザイン関係のお仕事を外注する方の場合は特に注意が必要!
デザイナーという職種がいったいどこまで対応できる職種なのか理解できていないのも当然なので、しっかりこちらから説明のお時間を取ることも大事になってきます。

『権利・法律関係』のトラブル

デザイン業務には様々な法律が絡むため、法的責任や権利関係のトラブルも起こりやすい分野です。

下記のような法律や権利まわりは特にデザインと密接な関わりがあり、トラブルが生じやすい領域です。

■知的財産権(著作権など)

納品したデザインの権利をどちらが保有するのかが曖昧なままだと、後々どちらの所有物であるのか問題になることがあります。
また成果物が、第三者の著作権を侵害しているかどうかの法的な確認・責任所在についてもトラブルの種になる可能性があります。

■景品表示法

主に広告やPR関係の案件の場合、商品をよく見せるための表現をしたり、キャンペーンを打つことがよくあります。
それに対して、実物より誇大な見せ方・過度な景品配布を行うと法に抵触しますが、その判断に関する責任所在が曖昧なまま進行するとトラブルに発展することがあります。

■薬機法

化粧品、サプリメント、医療関係の案件を担当する場合、法律上言及してはいけない内容が多々あります。
薬事法管理者の確認を入れると安全ですが、その確認に関する責任所在はどちらにあるのか曖昧なまま進行すると、トラブルに発展することがあります。

万一成果物に法律に抵触する点があり、消費者庁や特許庁からの指摘が入って問題が生じた場合に、全責任をフリーランスデザイナー側の過失とされてしまうと、大きな損害を被ることになる可能性があります。
これらを防ぐためには、文面で『法的責任・権利の帰属』を明確にしておくことと、予め万一の際の相談先を見つけておくことも大事です。

下請法・フリーランス新法に則った正しい取引状態と、各トラブルの責任所在

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実際の現場では、フリーランスデザイナーより依頼元の企業の方が力が強くなり、フリーランスデザイナー側に不利な条件が課されることも多くあります。
しかし、『下請法』『フリーランス新法(2023年施行)』という法律にて、定められている条件があるため、蓋を開いてみると依頼元の違法であるというケースはとても多いです。

法律の知識があれば、正当な理由で自分を守ることにつながるので、軽くでもインプットをしておきましょう!

『報酬・支払い』に関する法律上の正しい状態

下請法やフリーランス新法では、取引の透明性を確保するためのルールが定められています。

主に関係する項目として、下記があります。

・依頼時に報酬額と支払い期日を書面にて明記する
・報酬額に関し、一方的に減額することは禁止されている
・支払いに関し、成果物の受領後60日以内に行う

逆にいうと、何に対する報酬がいくらで、いつ支払われるのかが明記されていない状態での依頼は、フリーランスデザイナー側も受けるべきではないといえるでしょう。

『稼働期間』に関する法律上の正しい状態

フリーランス新法では、不当な長時間労働やスケジュールの押し付けを防ぐことを目的とし、主に下記が禁止されています。

・発注者が一方的に業務量を増やすこと
・発注者が一方的に作業期間を延長すること

フリーランスデザイナー側も、依頼時に『業務範囲』と『納期』が契約書等に明記されているかを確認しましょう。
業務範囲を超える追加作業や延長に関しての条件については、報酬面も含めて事前に依頼元と合意を得た上で進行することが必要です。

フリーランスデザイナー側が持っている他との案件との兼ね合いでスケジュールに制限がある場合は、こちらから細かいスケジュールや修正回数などをWBSにまとめて提示することをおすすめします!
このスケジュール感での進行に合意の上でご発注いただけるのかは事前に聞いた方がベターです。

『対応内容・業務範囲』に関する法律上の正しい状態

下請法やフリーランス新法では、業務範囲や対応内容の変更に伴う条件変更を事前に協議することが求められています。

本来は契約時に、依頼元から下記を文面で明示することが必要となります。

・役割と対応内容(義務)
・修正の範囲と回数(推奨)
・追加作業の費用(推奨)

依頼元が盲点となっているタスクがあったりもするので、それについてはフリーランスデザイナ―側が専門知識を持って確認を促す等のアクションをした方が望ましいです。
基本的には「追加のタスクや要望が生じた場合は、別途双方で協議の上、文面にて締結をする」という契約にしておけば、後から気づいたタスクについても安心です!

『権利・法律関係』に関する法律上の正しい状態

フリーランス新法では、権利の帰属を明確にするために、依頼事に依頼元が契約書にその内容を明記することが義務付けられています。
フリーランスデザイナー側も、依頼元から提示された契約書に関連する権利や法律に関する記述があるかを確認しましょう。

ほとんどの場合、知的財産権・著作権については予め契約書にデフォルトで組み込まれていることが多いですが、景品表示法・薬機法に関しては依頼元に知識がなく、契約書内で全く触れられていないことが多いです。
フリーランスデザイナ―側から関連する法律まわりについての会話を進んで行うことが必要です!

フリーランスデザイナーがトラブルを防ぐためにすべきこと

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できる限りトラブルが起きないような条件を提示することはできますが、本質的に法令遵守の話が伝わらない人や企業と関わってしまうと埒が明かなくなることも多々…
フリーランスデザイナーが望まないトラブルに巻き込まれる確率を下げるために、まずできることは『取引を選ぶこと』です。

会社を選ぶ

フリーランスデザイナーにとって、取引をする会社との関係性は、契約まわりの締結に大きな影響を与えます。

法令遵守意識が低かったり新しい法令への対応が追いついていない会社だと、いくらこちらから法令に則った条件を提示したとしても、受け入れられる可能性が低いといえます。

どのようにフリーランス人材と契約を締結するスタンスの企業なのかは事前に確認するようにしましょう。

顧客 / 人を選ぶ

フリーランスデザイナーにとって、顧客との関係性は仕事の質や進行に大きな影響を与えます。

・そもそもお仕事やデザインに関する会話が難しい人
後追いで無理な要求を繰り返すことが避けられないタイプの人
・最初から報酬を支払う気がない顧客

こういった人とは関わらないことが大切です。
取引先の企業が安全な会社であるかどうかと、関わる社員が安全な人がどうかはまったく別の話です。

受注前の会話の段階で、こちらからの条件提示に対する反応や、依頼内容に関する発言内容をよく観察し、慎重に判断しましょう。

たとえ小さな金額のお仕事であっても、信頼関係を築ける顧客や、自分のデザインを尊重してくれる相手とのお仕事は、効率が高いだけでなく満足度がぐんと上がるよ!

業界を選ぶ

相対的に見てお取引の前提条件に特徴があり、トラブルと感じる方が多い事象が起きやすい業界というのは、実際にフリーランスデザイナーの方々と会話している中で存在しているように思います。

あくまで一例までとなりますが、下でいくつか業界の特徴を紹介しています!

フリーランスデザイナー本人との相性もあるかと思いますので、様々なお客様と関わる中で、自分が最も安全に働けると感じる業界を見極めていくことも大事になります。

フリーランスデザイナーとトラブルになりやすい会社の特徴

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実際は関わってみたり、中に入ってみないと分からない部分もありますが、お取引を始める前に注意して情報をキャッチアップすることはできます。

実際に私がはじめましての企業様と関わるときに注視していることをご紹介します!

転職の評判サイトでの評判が低い会社

『転職の評判サイト』のようなものから、法令遵守意識・労働時間・社風などを掴むことはできます。

やはり会社の中にいる人の声が会社の真の姿を示していると思うので、下記のような声が多い場合は注意が必要かもしれません。

・コンプライアンス意識が低く、パワハラや法令違反が多い
人を大切にする文化がない
長時間労働が常習化しており、声を上げても改善の見込みがない
・事業の進め方や会社の将来性など、経営方針に違和感を感じる

社員を大切にしない企業の場合、発注先のフリーランスとなるとより扱いが悪くなる可能性も…
また、社内でのコミュニケーションや仕事の進め方、労働時間に違和感を感じている社員の方が多い場合、自分もお取引の中で同じように違和感を感じてしまうリスクがあるという前提で検討した方がよいかと思います。

Google検索で「やばい」というキーワードが出てくる会社

Googleで会社名を検索すると、「サジェストワード」という関連する検索キーワードが出てくると思います。

そこに下記のようなキーワードが出てきている場合は注意が必要です。

・会社名 + やばい
・社長の氏名 + やばい
・その会社の出している商品名 + やばい

絶対ではないですが、火のないところに煙は立たないですので、その会社と関わったことのある取引先など、外部からの評判が悪い可能性があると思っておいた方がよいかと思います。

ベンチャー / 中小企業

特に小さい規模の会社である場合、法令対応が追いついていないところも多く存在しています。
法令に関する情報がキャッチアップできていない場合、法令遵守意識が相対的に見て低い状態になってしまっている企業もいらっしゃいます。

フリーランス新法に関しての対応など、フリーランスデザイナー側からの要求が通るまでに時間がかかることもあります。

小さい会社の場合、Google検索しても会社についての情報が出てこない場合もあるので『不安があればとにかく聞いてみる』スタンスで臨むことが大事です!

フリーランスデザイナーとトラブルになりやすい顧客 / 人の特徴

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いくら安全な会社とお取引をしていても、実際に対面する担当者がデザインや法令に関しての会話をまともにできない状態であれば、トラブルに発展する可能性は大きくなります。
実際のデザイン業務の中でよく問題になりやすい担当者の特徴について、ここではご紹介します。

依頼時に目的と要件がはっきりしていない人

このタイプの顧客は、何を求めているのかが曖昧なまま進行するため、方向性のズレや再制作が頻発しやすいです。
最終的な成果物がイメージと合わないと感じた際に不満を抱きやすく、デザイナー側も無駄な労力を強いられる可能性が高くなります。
また、具体的なゴールがないことで納期や予算が膨らむリスクもあります。

そもそも依頼元の担当者が「自分が何を目的に何をデザイナーに依頼すればよいか」を理解していない状態ということです。
依頼をするのにもディレクション能力が必要なので、担当者の経験値があまりにも低そうな場合で、別の担当者によるフォローも入らない状態であれば、トラブルを覚悟しておいた方がよいかもしれません…

デザイナー側から提示する条件をしっかり確認しない人

条件確認を拒否する人、お願いしても一向に条件の確認対応をしない人は、契約内容や対応範囲について後から異議を唱えることがあります。
これにより、追加作業が発生したり、報酬の支払いを巡ってトラブルになるケースがあります。

フリーランスデザイナー側がいくら事前に書面で条件を提示したとしても、空返事しか返ってこないような状態であれば、取引は開始しない方が賢明です。
事前に書面で合意を得たとこちらが訴えたとしても、残念ながら無視されてしまうパターンが多い気がします…

自社や商品の情報を開示してくれない人

いくらデザイナーにお任せの案件だったとしても、制作物に掲載する会社や商品に関する情報が提供されなければ、フリーランスデザイナー側の作業が困難になります。
デザイナー自身で調べながら行うこともできますが、膨大な工数がかかることと、時間をかけても調べきれない外部から知りようもない情報があることも多々…

成果物が顧客の意図から大きく外れてしまい、不満や修正依頼が多発する可能性があります。

この手の顧客の場合、「全然うちの会社や商品のことを理解していない!」となぜか怒られてしまうケースもあるある…
もちろんフリーランスに依頼をしてくださっているのは社内の手が足りていないからではありますが、顧客が社内で抱えている情報は調べる術もないので、その状況でこのようなフィードバックをしてくる顧客はあまりにも理不尽ですね。

曖昧な形容詞で依頼をしてくる人 / 何でもよいと言う人

例えば、依頼事の要望について下記のような曖昧な表現をする顧客は、実際には具体的なイメージや要件を持っていることが多く、完成後に「思っていたのと違う」といったクレームに繋がるリスクがあります。

・おしゃれ
・適当に
・いい感じに

具体性を欠く指示は、方向性を定めるのが難しいため、試行錯誤が増え、制作時間が無駄に延びてしまうケースも珍しくありません。

ちなみに「何でもよい」と言う人の大半は、面倒でそう言っているだけなので、本当にお任せで何でもよいケースはほぼないと思っていた方が賢明です。
本当にお任せでお願いしたいと思っている方は「何でもよい」ではなく「〇〇さんが以前作られていた〇〇が素敵だったので、そのセンスにお任せしたい」など、丁寧な言葉遣いで接してくださるかと思います。

曖昧な言葉しか出てこないのは、言語化することが苦手だからなのだと思います。
作業に取り掛かる前に、他社のデザイン事例などをお見せしながら、どれが理想に近いか?を会話できれば問題ないかもしれませんが、その会話すらも不可能な状態であれば、お取引はしない方がよいかと思います。

質問に対する回答が遅い人 / 内容に不足のある人

顧客からのレスポンスが遅いと、意思決定が停滞しスケジュールの遅延を招きます。

また、こちらから質問したことと異なる回答をしてくる方や、何度も質問しないと回答が来ない方などは、コミュニケーションコストが膨大にかかるので、制作効率も低下します。
何かしらヌケモレが後から出てくるケースも多いので、最終的に修正が増えたり、納期がタイトになったりするリスクもあります。

最悪の場合、音信不通になってしまい、制作が最後まで進まないことや、途中までの稼働費をいただくことすらできなくなってしまうケースもあるので、連絡が取りづらい人には要注意です。

フリーランスデザイナーの稼働条件に特徴のある業界

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主なものとして下記の業界が挙げられますが、すべての会社が該当するというわけではないので、自分の目と耳でしっかりと確かめてからお取引を開始してみてください。

何をトラブルと感じるのかは人それぞれな部分もあるので、自分と働き方の相性が合うか?をよく考えてみることをおすすめします!

IT / 広告 / コンサルティング業界

すべての企業が該当ではありませんが、社員が長時間働いているケースが多いため、そのスタイルに合わせることが前提となりやすく、労働時間に関する取り決めがゆらぎやすい傾向があります。

関わる社員さんが忙しすぎて連絡が取れずスケジュールの変動が生じたりすることも。
また二次請け・三字請けの案件も多いため、エンドクライアントと直接会話ができず、無理な要求がフリーランスデザイナーのもとに降りてきてしまいやすかったりもします。

ガッツのある人が多い業界ではあるので、自分がそれについていけるかどうかが肝になるかと思います!

「深夜に連絡してこないでほしい…」と感じてしまう人は、避けた方がよいかも…。
逆に臨機応変さを活かして熱量高く進めたい!という方にはぴったりな業界です!

化粧品 / 美容 / ファッション業界

あくまで相対的にではありますが、デザインに対する要求が多くなりやすく納品までの稼働が長期間化しやすい特徴があります。
担当者が複数人に渡る場合、それぞれの思い描く理想像が異なることから、後追いで修正や追加パターンの制作依頼も出やすい傾向です。

長期間かけてよいものを作り上げていくことが前提にあることが多いことを理解してお取り組みをするとよいかと思います!

スケジュールどおりにプロジェクトを進めたい・利益効率重視で進めたいタイプの方には、あまりおすすめできない業界のような気がします…。
じっくりこだわりを持って仕上げるのが得意な方に向いている業界です!

小売業界 / 店舗ビジネス

薄利多売の業界の場合、どうしてもコストカットの意識が強くなりがちなのが特徴です。
これもすべての企業が該当というわけではありませんが、デザインの発注金額も可能な限りカットしてほしいという要望が出やすかったりも…
また相対的にフットワークの軽い業界、流れの早い業界でもあるので、納期が短い時もあります。

いかに効率的によいものを作り上げるかを考え、進め方も含めてご提案しながらお取り組みすることを前提と考えておいた方がよいかと思います!

デザインのお話に慣れていらっしゃらない方も多いので、一から説明することを面倒に思ってしまう人は向いていないかもしれません…。
ただオーナーと直接話して進められるチャンスもあるので、二人三脚で取り組みたい方にはやりがいがある業界です!

トラブルを防ぐために受注時にヒアリングすべき事項

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会社や人に関する問題とは別に、『業務内容』に関しての問題も未然に防げるようにするには『受注時の条件・契約の握り方』がとても重要になります。

条件を取り決めするためにヒアリングする事項は、その場で考えると握り漏れが発生するので、事前に最低限の項目をピックアップしてからお打ち合わせに臨みましょう。

①依頼の目的とゴール

最初の段階で下記を確認しましょう。当たり前のようで、最も大事な根幹となる部分になります。
これに関しての合意をまず得ることで、制作物が顧客の意図や期待を大きく外れるリスクを回避できます。

・依頼の背景
・達成したい目標
・成果物の用途やターゲット層

特に達成したい目標が定性面ではなく、売上額や顧客の獲得数など定量的な数字の目標である場合、「目標数値が達成されない場合の対応・責任所在」に関するルールも含めておくと安心です。

これに関しても、必ず文面にしてご提示しましょう!
契約書の形でなくとも、ドキュメントで提出して、チャットやメール上で「合意」の返信が文面でいただければ効力が発揮されると言われています。

②スケジュールと納期

最初に納期、つまり、納品の最終デッドラインを確認しましょう。

その後、プロジェクトの全体スケジュールと各段階の期限をWBSなどにまとめて共有します。
中間チェックや修正のタイミングや回数も取り決めしておくことで、進行が滞るリスクを軽減できます。

依頼元の担当者だけでなく、その上長が確認するフェーズが挟まるケースは多々あるので、誰がいつのタイミングで確認を入れるのかの『確認フロー』もこの段階で固めておくと安心です!

契約書が存在する場合は、「別途定める工程表に記載の進行に則ること」という一文を契約書内に記載をしておくことで、WBSに記載の内容すべてに関して契約の合意を取ることができます!

③予算と支払い条件

先方が持っている予算を予め確認した後、フリーランスデザイナー側からの希望条件を提示していき、下記を具体的に取り決めます。

・報酬金額
・支払いサイト(当月末締め翌月末支払い等)
・支払いスケジュール

スケジュールに関して、一括での支払いでなく、「着手金、中間金、最終支払い」のタイミングが分かれる場合にはその時期も明記し、顧客が支払い義務を怠らないようにします。

④要件定義と役割分担

下記を明確化しておくことで、対応内容や役割に関する責任の所在をはっきりさせます。

・フリーランスデザイナーの役割と対応範囲
・デザインの要件(指定のレギュレーションやデザインの方向性)
・制作に使用するツールやデバイスの取り決め
・顧客からの素材や情報などの提供物と提供タイミング

上記だけを見ると項目数が少なく見えますが、それぞれの中身を詰めるとなるとかなり内容が細かくなると思います。

Webサイトの制作などでコーディングが入る場合には、実装環境・実装要件に関する項目もたくさん入ってきます…!

⑤修正回数の上限・追加要件発生時の条件

スケジュールの段階で工程と修正回数の目安は提示できていますが、下記のようなイレギュラー発生時についての条件も事前に取り決めをしておきます。

・スケジュールの最大上限回数
・スケジュールの延長発生時の追加料金
・追加要件発生時のスケジュール再調整と追加料金

実際に発生しないと詳細が定めづらい部分もありますが、もし可能な状況であれば、事前に追加費用の計算方法も文面化しておけるとさらに安心です。

これを事前に話しておくと、依頼元からの無限要求や想定外のスコープ拡大を防ぐことができます!
同時に、自身が抱える他の案件への悪影響を防ぐことにもつながります。

フリーランスがトラブルに巻き込まれた時の相談先

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ここまででできる限りの対策をすれば、トラブルに巻き込まれる確率はかなり下がるかと思いますが、どうしても依頼元と折り合いが付かなくなることが発生した場合は専門家に相談をすることをおすすめします。
軽度な内容であれば無料で相談できる機関もあるので、自分の身を守るために活用させていただきましょう!

無料で相談できる公的な機関

まず直面している事象が「法的にトラブルと言えるのか?」「顧客側に過失はないのか?」の真偽を確認したい段階であれば、無料で相談ができる機関が存在します。

日本弁護士連合会(法テラス)

法律トラブル全般について相談できる公的機関です。
無料相談を受け付けており、必要に応じて弁護士の紹介も行っています。費用の負担が難しい場合、一定条件のもとで弁護士費用の立替制度を利用できる場合があります。

全国の消費生活センター

消費者トラブルだけでなく、フリーランスとしての契約トラブルに関する相談も可能です。
地域ごとにセンターが設置されており、電話や対面での相談に対応しています。

中小企業基盤整備機構(J-Net21)

中小企業や個人事業主向けの支援機関で、契約や取引に関するトラブルについてアドバイスを受けられます。
各地の「よろず支援拠点」にて専門家の無料相談を利用できます。

有料で相談できる団体や専門家

無料相談は基本的なアドバイスに限られることが多いので、具体的な解決を求める場合には有料で専門団体・専門家への依頼をした方がよいかもしれません。
早めに相談し、状況が悪化する前に対策を講じることが大切です。

フリーランス協会

フリーランス向けのコミュニティで、契約や法律に関する有料相談が可能です。
会員向けの特典として、提携する弁護士や専門家の割引相談サービスが提供されることもあります。

弁護士

フリーランス向けの契約トラブルや未払い問題に特化した弁護士も多くいます。
有料ですが、専門的なアドバイスや交渉代行を依頼できます。
初回相談料は30分5,000円~1万円程度が一般的で、地域の弁護士会を通じて探すことも可能です。

トラブルを防いで、フリーランスの働き方を快適にしよう

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ここまでで様々なトラブルの回避方法・対処方法をお伝えしてきました。
注意しなければいけない点がたくさんあって、気疲れしてしまうかもしれませんが、受注時にやるべきことを事前にまとめておきさえすれば、あとはそれに則って進めていくだけです!

会社員の場合、どんなに問題のあるプロジェクトであっても、任されたら対応しなければならないですが、
フリーランスは自分で仕事を選ぶことができるのが大きなメリット。

自分でしっかり仕事の目利きと受注条件のグリップを行って、自分にとっての快適な働き方を作っていきましょう!

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enne(えん)
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現役フリーランスクリエイター
安月給の事務職OLから這い上がり、クリエイターにジョブチェンジ。 ブラック企業でバリバリ働いたり、ベンチャー企業でクリエイティブ組織を立ち上げたり。 現在はフリーランスとして独立し、プライベートも大事にしながら、効率的に楽しく稼ぐ処世術を模索中。
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